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西田は1970年来,40年間もの研究を行っており、研究分野(右図参照)はかなり
広いがその中でもShading Model関係で、特に散乱光に関する研究を紹介する。
大気散乱や多重散乱がリアルな画像生成の要素である。1985年から2012年までの著者の論文やアニメーション作品でLight Scatteringに関連するものをまとめた。 大気中の粒子が照らされて生じる光跡、空の色、雲 や煙の色、水の色、霞の効果など、粒子による散乱・吸収はリアルなCG画像の重要な要素である。 他の手法;< Radiosity | Soft shadow | Bezier Clipping | Light Scattering | Natural phenomena |Fluid dynamics > |
研究分野 |
Light Scattering とは | |
光は物体表面で反射、透過(屈折)を生じる。物体が粒子の場合は、散乱、吸
収を生じる。CGにおいて、大気の色や、雲の色など多くの自然現象の表示には光の散乱・吸収を考慮するようである。また霞は大気中の粒子の吸収(波長によ
り影響)により生じる。、
光の散乱を考える場合の要素は、上のように、位相関数、多重散乱、粒子を照
射す
る光源、および粒子の密度分布である。
散乱を考慮する場合、散乱光の分布を表すのに、位相関数がある。 散乱には2つのタイプがあり、粒子が波長にくらべ小さいものにはれりー散乱、大きいものにはミー散乱がる。前者は波長に強く依存し、波長の4乗に半比例す る。これは空気の粒子などの散乱である。後者はエアロゾルや雲の粒子(水蒸気)などに対応し散乱光はあまり波長に依存しない。すなわち散乱光は白色であ る。また、その位相特性は特強よい前方散乱である。 アルベドが高いものは、粒子間の多重散乱光を無視できない。 こうした粒子を照射する光源としては、太陽光や天空光のような自然光 か、白熱電灯のような人口光源がある。 粒子は密度分布をもつ、大気の場合地球規模で考えると地上から指数関 数的に密度が変化する。雲などは任意の複雑な密度分布をもつ。 |
シェーディングモデルの要素に大気散乱があり、ここでは粒子により散乱・吸収に焦点を当てる。(なお、黄色文字のキーワードは筆者がパイオ ニアの1人である) 上の図は粒子からの散乱光の位相関数 位相関数(関数表現);レーリ散乱とミー散乱 |
誰が Light Scattering のパイオニアか |
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CG分野で粒子の表示を始めてしたのは、Blinnの土星の輪の表現であろ
う(1982)。土星の輪は氷の粒子の集合として表示された。次に1984年にKajiyaが煙の描画をおこなった。
粒子を含むものは、気体、液体、物体とに分けられる。それぞれにおいてCG分野では、それぞれに対していくつもの論文(2000年まで抜粋)は発表され て いる。 a) 気体の粒子による散乱 ・光蹟shafts of light; Nishita87, Inakage91 ・雲からのこもれ日light beams passing through clouds; Max86 ・煙・雲smoke, cloud; Kajiya84, Nishita87, Sakas91 ・空の色sky color ; Klassen87, Kaneda91 ・地球大気の色atmosphere viewed from outer space; Nishita93 ・多重散乱 multiple anisotropic volume scattering; Kajiya84, Blasi93, Max94 ・媒介物質中の相互反射radiosity of participating medium; Rushmeier87 ・フォトンマップphoton map; Jansen98 b) 液体の粒子による散乱 ・池の色ponds; Kaneda91 ・宇宙から見た海の色sea viewed from outer space; Nishita93 ・水中の光跡や集光効果optical effects within water; Nishita94 c) 物体の粒子による散乱 ・
土星の輪Saturn's rings(ice particles); Blinn82
西
田らの最初の散乱関係ではSIGGRAPH 1985のシアターに採択された動画 「Feast of Light」である。 SIGGRAPH 1986のエレクトリックシアターに採択された動画「A Visitor on a Foggy Night」がある(動画)。 これは、霧のある夜にライトに照射される粒子の光跡を描画したものである。続いて、SIGGRAPH 1987のシアターに採択された 「CG Town」、SIGGRAPH 1987のシアターに採択 された「The Sky」(動画)も大気 や雲の色の計算を含んでいた。
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CGの歴史上重要な技術の開発と受賞者(SIGGRAPH S.A.Coons賞など)との関係 Light Scatteringは1981年に最初の研究がBlinn(右上から2番目の写真中央)により)なされた。また、著者は1985年に採択されたアニメー ションに採用した。(このスライドでは、主要な技法 の開発者と西田との写真も紹介。) 中央が土星の輪で散乱光を表現したBlinn氏(3人ともSIGGRAPHからの受賞者) |
自然界における散乱光 |
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対象の物質により粒子のサイズが異なり、それにより散乱の種類(レーリかミー散乱)も異なる。 |
自然界において、粒子で構成されるのは地形、大気、水、天空光、雲など多様である。 |
散乱に関する西田らの論文 |
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SIGGRAPH 1987で発表した"A Shading model for Atmospheric Scattering Considering Luminous Intensity Distribution of Light Sources" 光源の分布特性を考慮した光跡の表示 SIGGRAPH 1993 で発表した地球大気の表示 SIG93から15年が経過したら、より高画質になりリアルタイム表示(土橋の論文)が可能になった(動画)。 毛利さんに報告に行った。 1991年に地上から見た空の色の計算法を提案(1987年にKlassenが最初に空の色の計算法を発表したいたが、その学会誌が日本に 届くのに時間がかかり、引用できず、不採録になり、対策したものが1991年に採択)。 空の色は太陽の方向で決まる。太陽の大気の通過距離に依存して大気中の粒子の散乱・吸収によってきまります。 SIGGRAPH 1996 で発表した雲の中の粒子による多重散乱 SIGGRAPH 2000 で発表した"A Simple, Efficient Method for Realistic Animation of Clouds,"(土橋) エリアシングを生じない大気散乱の計算法の発表(Imagire,2007年) SIGGRAPH 1994 に水中の光学的効果の論文を発表 なお、最初に水の色の表示法は1991年に発表した(動画)。 1992年に水の色の変化をアニメーションを作成した。(この動画はスイスでの国際会議でグランプリを受賞) 雲も海水の粒子間の多重散乱を考慮した表示( 岩崎、2007年) EUROGRAPHICS 1997で発表した雪の色を多重散乱を考慮した計算法 雲の粒子間の多重散乱を計算するには4重積分が必要 |
空気分子の散乱光を考慮した大気の色の計算 (査読者から実写との比較を要求され、宇宙飛行士の毛利さんが宇宙から撮影したスライドと比 較した) 天空光に関して、下記論文発表した。 Sky light(SIG 1986), Out door(EG 1993), Light design(EG 1994), Basis-function(PG 1994), Sky color(PG 1996), Sky Light Luminance(EG 1996), Sky Color using Basis functions(VCA 1997), 雲は水蒸気の粒子で構成されているので、粒子による散乱光や吸収を考慮して描画するようである。 大学は内陸の盆地にあり、夜になると光跡を見るチャンスが多く、それがこの研究のチャンスに (当時の動画を作成してくれた学生達) 多重散乱を考慮した空の色の計算(視点の位置と太陽高度により色が変化するのが分かる) |
Global IlluminationにおけるLight
Scattering
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SIGGRAPHAsia 2010 で発表した"Unbiased, Adaptive Stochastic Sampling for
Rendering Inhomogeneous Participating Media"(楽) |
大気中の粒子による散乱光も環境光として窓から入射する。室内では粒子も考慮した相互反射の計算も必要。 種々の光源に対して、散乱光が重要である。 |
研究の経緯 |
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大気散乱の研究は30年も前の1985年から開始し、水の色は1991年から開始し研究が進展した経緯
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謝辞; これらのCG画像は多くの人のおかげで作成できた。 特に、中前教授(当時広島大)、土橋、岩崎、金田、白井、楽、今ぎれ氏に感謝 |